豆が花

先日の多良間ションカネーに続き、「豆が花」について書いてみます。
これも最高賞の課題曲の1曲。多良間ションカネーに比べて歌が短いので割と早く覚えることはできますが、そこからが難しいです(^^;

「豆が花」とは

朝露に濡れる豆の花を娘さんに例えています。島に派遣された役人が、島の娘を見初めて我がものにしようとして無理難題を吹っ掛けるんですが、それに対して父親が毅然と立ち向かう様子を歌っています。

前回書きましたが、琉球時代の宮古や八重山は「人頭税」が課せられ、その取り立てのために各島に役人が派遣されていました。その役人が身の回りの世話をさせる現地妻を娶っていたワケです。
現地妻になると本人と両親は税が免除され役人と豊かな生活が送れるのですが、その分の税は他の島人に降りかかってきます。なので、他の島人からすると現地妻は羨ましい反面、妬ましい存在でもあったようです。このため役人が帰任して取り残された現地妻は村八分のようにされたとのこと。
一時的に良い生活ができたとしても、我が娘をそんな目にはあわせたくないという親心と、農民の反骨精神も窺がえます。

私が取り組んでいるのは二揚げの「豆が花」ですが、豆が花には本調子の曲もあります。「琉球列島 島うた紀行〈第二集〉」によると本調子の曲は歌詞が異なると書いてありますが、私の手元にあるものは二揚げと同じ歌詞が書かれています。

「豆が花」の歌詞

一、朝(ストゥムティ)ぬ豆(マミ)が花(パナ)ヨー サーサー
夜明前(アキシャル)ぬ露が花(パナ)ヨー イラユシ
(ハヤシ)イラヨシマーヌ 露が花(パナ)よ

朝咲き始める豆の鼻のように
朝早くおりる露をうけて咲く豆の花のように

二、豆(マミ)が花(パナ)一時(ピトゥバナ)ヨ サーサー
露が花(パナ)片時(カタトキ*)ヨー イラユシ
イラヨシマーヌ 片時ヨー

豆の花は一時だ
露を受けて咲く花は片時だ

三、はいゆはい前里親人(マイザトウヤズ*)ヨー サーサー
君(ウワ)が子供(フフワ)ゆ僕(バヌ)んふいるヨー イラユシ
イラヨシマーヌ 僕(バヌ)んふいるヨー

おいおい前里のおやじ
おまえの娘をおれにくれ

四、私(バン)が娘(ふふわ)ぬマカマドゥやヨー サーサー
見差親(ミザスシュウ)とぅたきやあらんヨー イラユシ
イラヨシマーヌ たきやあらんヨー

私の娘のマカマドゥは
位の高い役人の機電とは身分が違いますよ

五、たきなしばたきどぅなす*ヨー サーサー
夫婦(ピトゥミ)なしばただぱぐるんヨー
イラヨシマーヌ ただぱぐるんヨー

男と女は一緒になれば位の違いは気にならないものだ
二人が一緒になればなにもかわりない

六、年数(トゥスユ)みば十七才(トゥナナツ)ヨー サーサー
肌(パダ)見りば今子供(ナマヤラビ)ヨー イラユシ
イラヨシマーヌ 今子供(ナマヤラビ)ヨー

私の娘は年もまだ十七才で
肌を見てもまだ子供ですよ

(歌詞・訳:国吉源次流 工工四より)

私の工工四では歌詞は6番までしかありませんが、「琉球列島 島うた紀行〈第二集〉」をみると、9番まで載っています。
7番~では、役人が「俺の言うことをきけぬなら二十よみ(もっとも細かい上布で精密な織物)を織らせるぞ。細物を織らせるぞ。」といって脅しますが、父親は「織っても良いですよ。(でも娘のことは断ります)」と歌が続いています。

歌にのせているとゆったりしていますが、父親としては必死な状況でしょうね。
そんな必死な状況をも歌にするという人々の強さ、、、いえ、歌にするしかない遣る瀬無さを感じます。

人頭税とは?

唄の背景にある人頭税について少し書いておきますね。
人頭税は、その人の収入や仕事の内容、年齢、男女に関係なく、とにかく 「一人あたりいくら」 と決められた金額を税金として支払わなくてはいけないという、とても厳しい税金システムです。琉球王朝が宮古島や八重山など先島で行った税のとりたては、とくに厳しいものだといわれています。
人頭税は、薩摩藩の支配が始まった琉球王朝が、薩摩藩へ税を収めるために1637年から始めた制度です。 それまでも琉球王府は宮古島や八重山群島など先島には差別的な扱いをしていましたが、過大な税負担までも課すことにしたんですね。
人頭税は15歳から50歳までの男女全員が対象で、干ばつや台風被害によって収穫量が少ない年でも琉球王朝の税金収入の総額が減らないように、島や地域からの収入額を一定化させ、各住民に割り振っていました。
詳細については「宮古島キッズネット」等にかかれていますので参照してください。
http://miyakojima-kids.net/jintouzei.html

宮古島では(八重山もそうですが)時に命にまでかかわるような人頭税が唄の背景にあることを忘れずにいたいです。人頭税については少し書いただけで済むような内容ではありませんので、機会をあらためて書いてみたいと思います。

「豆が花」(歌・三線:松山雅一)

私の師匠、松山雅一の「豆が花」です。

 

さて、こちらも我が家に来て1年経ったレオンくん。
臆病でどうしようもなかった彼ですが、最近は人の顔を見ると「撫でろ~!」と要求してきます(笑)
飼い主が言うのもなんですが、けっこうフォトジェニックな猫です。
親バカっていうんですかね(^^;

 

今日も最後までお読みくださりありがとうございました!


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