私が三線作りを学んだワケ
このブログのフロントページを飾る三線は、職人さんに教えてもらいながら私が製作したものです。(※皮張りとカラクイは職人さんに注文しました)
上の写真は、その棹を削る前の荒割りの状態に線引きしたところ。
プロフィールに書きましたが、2015年4月に三線職人塾に入って三線作りを学びました。
学んだというと大袈裟ですかね。
三線職人塾
三線職人塾というのは、浦添市の新城工作所が主催している三線作りの塾です。
朝9時から夕方5時まで、4日間にわたって熟練職人から教えてもらいます。荒割の黒木(カミゲン)を1本もらい、型紙に合わせて線を引くところからスタート。大きな部分のカットは先生が機械でしてくれますが、それ以外は自分で削って棹を仕上げます。
牛骨を削って歌口をはめ、カラクイを削り、部当てまで。
それぞれの工程だけでなく、一連のプロセスを通じて割れや欠けの補修方法も学ぶことできます。
(三線職人塾についてはまたあらためて書きますね)
なぜ職人塾に?
三線職人塾に行ってみようと思ったのにはいろいろな理由が重なっています。
部当てを直してもらうだけでも、沖縄まで三線を送ると往復で6,000円くらいの送料がかかります。
ほんの少しのことでも直って帰ってくるまで2週間くらいはザラ。
加えて、自分が子供のころから工作好きでいろんなものを手作りしてきたからでしょうか、沖縄の工房で作られた三線をいくつか手にして正直に思ったのは、、仕上げが雑だなぁと、、、スミマセン。
まぁ、伝統工芸士の方が仕上げた高級品って訳じゃないので仕方がないのかもしれませんが、それでもそこそこの値段がするものです。
私が出会った何丁かの三線達がタマタマなのかもしれませんが、
- カラクイの角度がおかしい(中弦のカラクイがなぜか斜め)
- 塗りが垂れてる、気泡が入って塗装が浮いてくる
- 歌口が斜めってる
- チルを交換するとき歌口がポロッと落ちる
- 部当ての隙間が数ミリも開いている
- 真上から見ると棹が左右対称じゃない
- 心がずれている、曲がっている
- 同巻きをはずすと皮がよれて折り重なっている
- 皮の合わせ目に大きな隙間があいてチーガが露出している
- 部当ての修理に出したら接合部のチーガ側が皮ごと彫られて戻ってきた
等々。。
私の運が相当悪いのでしょうか(苦笑)
どれも沖縄の工房で製作されたものなんですけどね。
だったら、少しくらいなら自分で直せるようにしたい、と思ったのが最初です。
でも決定的だったのはこれですかね。
「カミゲン、シラタなし、真壁型大特価!」に目がくらんで手に入れた三線。
無残ですね。
塗り替えをしようと別の工房に頼んで塗りを剝がしてもらったら、全身補修痕だらけ。
興味本位で傷跡を押してみると、なんと補修部が陥没していったんです!
傷の埋め方があまく、中が空洞だらけだったんですね。
製造元の工房に連絡して補償の相談をしたものの、途中でその工房とは連絡が取れなくなってしまいました。(後に廃業したことが判明。奏愛工房というところです)
このことで「三線工房」というところに対する信頼感が音を立てて崩れてしまいました。(真面目な工房はたくさんあるのに、この時は不信感でいっぱいになっちゃったんです)
だったらもう、自分で作るしかないかと。
飛躍しすぎたでしょうか(苦笑)
でも、このおかげで皮張り以外の全ての工程を実践して学びました。
手元に型紙や工作機械がないので一から作ることはできませんが、傷や割れの補修から塗り(漆塗りは独学ですが)、部当てまで自分でできると、何かあっても自分で対処できるという安心になります。
結果だけからみると、「災い転じて福となった」といえますか。
ちなみに、写真の陥没三線は自分で修理して漆を塗り直してきれいになりました。その過程はいずれご紹介します。
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