こんなにあるの? 三線の流派・団体

三線を学び始め、いずれコンクールを受験したいなぁとなると、どこかの流派や団体に属した教室や研究所で学ぶ必要があります。

流派や団体とは

というのも、流派や団体によって歌い方や節回し、三線の弾き方が異なっていて、同じ楽曲でも工工四(楽譜)に違いがあるんです。
このためコンクールは流派や団体ごとに行われています。異なる歌い方・弾き方を学んでいる人を審査するワケにいかないんでしょうね。
コンクールというと、参加者の中から最も秀でた人を審査するイメージがありますが、そうではありません。三線の世界でのコンクールというのは、いわゆる段位試験です。例えるなら初段に相当する新人賞から始まり、優秀賞、最高賞等とステップアップしていきますが、通常は順序を飛び越えることができません。どんな経歴を持っていても、新人賞から受験していくことになっています。(例外的にスキップする人もいるようですが)
もちろん流派横断的にはなっておらず、流派や団体が変わるとまた新人賞からスタートになります。

各流派では、「師範」あるいは「教師」が研究所等と呼ばれる教室を持っています。そして、その師範や教師の推薦がないとコンクールを受験することはできません。

その流派や団体ですが、本当にたくさんあります。ざっと調べてわかっただけでも、古典・民謡をあわせて20以上の団体が存在します。

【古典】

湛水流
・湛水流保存会 1960年設立
・湛水流伝統保存会 1983年設立

安冨祖流
・安冨祖流絃聲会 1931年設立
・安冨祖流絃聲協会 1960年設立

野村流
・野村流音楽協会 1924年設立
・野村流古典音楽保存会 1955年設立
・琉球古典音楽野村流松村統絃会 1909年設立(1960年野村風与那原音楽会から改称)
・野村流伝統音楽協会立 1982年設立

【民謡】

沖縄民謡
・琉球民謡協会 1957年設立
・沖縄民謡協会 1976年設立
・琉球民謡保存会 1989年設立
・琉球民謡音楽協会 2002年設立
・沖縄民謡保存会 2003年設立
・琉球國民謡協会 2004年設立
・前川本流民謡協会
・琉球民謡登川流研究保存会

八重山民謡
・八重山音楽安室流協和会 1949年設立
・八重山音楽安室流保存会 1958年設立
・八重山音楽大浜用能流保存会 1970年設立
・八重山古典民謡保存会 1976年設立
・八重山音楽安室流室山会 1998年設立

宮古民謡
・宮古民謡協会
・宮古民謡保存会
・宮古民謡保存協会
・在沖宮古民謡協会

Wikipediaや他のサイト等から作成しましたが、HPを持たないところも多いので、上に挙げた以外にもありそうです。

古典の場合、その基礎作りをしたルーツの流れをくむ流派が厳然として存在しています。宮廷音楽として確立され、王府に守られてきたこともありますが、国指定の重要無形文化財にもなっていますから、保存と継承は流派の使命といえますね。

一方の民謡はというと、もともと庶民の中で歌い継がれてきたもので、そもそも流派というべきものはありませんでした。
それが、1957年に「琉球民謡協会」が結成されて、しばらくすると民謡界に影響力のある人達が流派を結成。前川流(故前川朝昭)や登川流(登川誠仁)などができ、それを普及しようという団体が設立されるようになりました。また、各個人で流派を開派しているケースもあり、正確な数は正直わかりません。

従来までは実力のある人が各自各様にやってきたことが、会ができて師範免許や教師免許という制度ができたことで、オーソライズされた教室(研究所)を持つようになりました。実力のある方は独自の歌い方や技術を持っていますから、弟子が増えてくるとそれをさらに増やし自身の名を冠した「流派」として後世に残したくなるのは理解できます。
しかし、ちょっと多過ぎですね。

今も、自身の弟子たちを連れて独自の流派を立ち上げる、なんてことが行われています。
かくいう私もそのようなことが原因で所属していた団体から籍がなくなり、その年のコンクールが受験できなくなってしまうという経験をしました。団体の偉い人たちの事情がいろいろあるのでしょうが、下々にいる一会員としてはとても苦い思いをしました。
まぁ、またイチからやり直せば良いのですが(苦笑)

古典の世界でも小さな会派がたくさん生まれているようです。しかし、古典の場合は大きな流派の下で行われていますから、野村流ならずっと野村流でいられますし、コンクールで取得した段位も積み重ねていけるようです。

教室を選ぶときは

しかし、これだけ流派や団体があると正直ワケが分からないですね。
流派や団体によって歌い方や工工四が違うと言われても、最初は違いなんて気付かないと思います。

では、教室選びはどうすれば良いのでしょうか。
例えば、登川誠仁先生のファンだから「琉球民謡登川流」の教室を選ぶというように、その流派を代表する唄者で選ぶのも良いですね。
それと、「この先生に学びたい」と思えるかどうかが大事かなと思います。
歌い方や演奏が好き、教え方が合っている、相性が良い、等々、学びたい理由は色々ですが、私の場合は「この先生のように歌えるようになりたい」というのが一番でした。それが「この人から学びたい」というモーティベーションになっています。

※上に挙げた以外にも、関東に100か所以上の三線教室を持つ団体が東京にあります。民謡・古典・ポップスなどジャンルにこだわらずに独自の工工四と三線で活動しており、沖縄でいうところの「教室」「研究所」とは趣が異なるようです。


PAGE TOP